2006年度 地域文化論UV レポート                                       
                                                                 
    車椅子遍路 in 愛媛県今治市
       〜今治市内 6ヶ寺のバリアフリー調査と周辺のトイレ調査について〜

  調査の目的

   私はこれまでずっと四国で暮らしていましたが、今まで「四国遍路」といったものには、ほとんど   
  関心がありませんでした。しかし入学後 この「地域文化論(歩き遍路体験学習)」を受講して、白
  装束で遍路をされている方の姿が次第に目に留まるようになり、自分が知らなかっただけで、
  四国遍路 をされている方が非常に多いということに気がつきました。
   今日 高齢社会を迎え、また団塊の世代の大量退職を控えた時代のなかで、その動機には様々 
  なものがあると考えられますが、高齢 あるいは何らかの障害を持った方の「四国遍路」に対する
  ニーズも増加 していくことが予想され、また私が介護福祉士を目指す「生活福祉専攻」の学生で
  あることから、それらの方々を受け入れる地域の現状を調査することで、今後への課題が見つか
  るのではないかと思い、この調査を行うことにしました。
   また『周辺トイレMAP 』は、車椅子を利用されている方が外出されるときに最も懸案となる情報
  であると考えられ、これを ホームページにて公開することで少しでも役立てられればと思い作成しま
  した。

  調査方法

   『境内のバリアチェックシート』 『トイレのバリアチェックシート』を作成し、訪問による調査を行い
  ました。

  調査期間

   2006.12.〜2007.03

  調査結果

   TOPページ 『境内バリアフリーMAP』 『周辺トイレMAP』 に掲載。

  調査を終えてわかったこと

  (1)境内のバリア調査

   ・門内、境内まで車で直接進入できるようになっている。
   ・敷石がフラットで通行しやすくなっている。(延命寺・国分寺)
   ・石段に手すりを設置しているところが多い。
   ・石段を迂回するスロープが設置されている。(泰山寺・国分寺)
   ・身障者用トイレの設置。(円明寺・延命寺・仙遊寺)
   ・宿坊の段差解消、エレベーターの設置など、高齢者・身障者に対応している。(仙遊寺)
   など、各お寺でもユニバーサルデザイン化 へ向けて多くの取り組みが行われている事がわかり
  ました。
   しかし、まだまだ細かな点では問題も多く見られ、車椅子で自由に動き回るには改善が必要な
  ところも見受けられました。これらの点については、各お寺による改修だけではなく、民間のボラン
  ティアによる手助けや、札所が単なる宗教施設ではなく地域の観光・文化の拠点とも位置づけら
  れる事から行政による政策的支援も必要ではないかと思いました。

  (2)周辺のトイレ調査

   1994年のハートビル法施行以降、身障者用トイレ(多機能便房)を設置した建築物が増えてきて
  いますが、そうした建物は市街地に集中しがちで、郊外においてはどうしても少なくなる傾向があり
  ます。(56番泰山寺より後)
   また車椅子マークのついているトイレではあっても、
    ・入り口が狭い (幅が80cm以下…開口部は80cmあったとしても扉が少し残るため (引き残し)、
     実寸はそれ以下となってしまう。)
    ・通路がクランク状になっていて通行困難であったり、通路にベンチなどが置かれてありそれが
     障害となっている。
    ・扉が開き戸である。あるいは引き戸であっても重い。
    ・扉の鍵が隅の方に有り、施錠開錠が車椅子では難しい。(袖壁がなく角になってしまう。)
    ・内部 特に便器の前に、車椅子が回転できるスペース(径 150cm以上)がなく、移乗や方向
     転換することができない。
    ・洗浄レバーが後方の貯水タンクの横にあり、着座状態では操作しにくい。
    ・設計時にデザイン上の制約があったためか、動線が必要以上に長くなっている。
    など機能性に問題のあると思われるところが多くありました。
   その他、
    ・認知、感覚機能の低下等により、オムツを利用している方の交換ができる場所がない。
     (乳幼児用のものは設置されているところもあるが、成人はつかえない。)
    ・早朝、深夜の時間帯では利用できる場所がさらに少なくなる。
     (時間帯によるバリア : 遍路に限らず旅行時には朝6時出発といったことはよくあると思うが、
      朝 6〜9時の時間帯では ほとんどの公共施設、商業施設は閉まっていて利用できない。)
    ・24時間使える公共の公園などは、清掃・保全が行き届いていない感が否めない。
     (市役所でトイレの清掃について確認したところ、使用頻度の高い場所は週に 6回 、郊外など
      では週 2回程度のところもあるということです。)
    ・一般的な小規模な公園には駐車場が設置されておらず、道路は駐車禁止となっている。
    ・遍路道の沿道に公園自体がない。
    ・コンビニエンスストア チェーン の ファミリーマート では 2005年より郊外の新設店舗の ユニバーサルデザイン化
     を進めており、出入り口に自動ドアの設置、通路幅を広く取る、身障者用トイレの設置などが
     行われています。これらは郊外におけるトイレ不足の解消と共に、深夜帯にも常時人がいる
     安心感と時間帯によるバリアの解消にもつながり、地域の ユニバーサルデザイン化と しても有効
     な試みであると思いました。
    ・性差によるバリア : 身障者用トイレは男女兼用となっている。男性用トイレにのみ洋式便器
     がある。女性用トイレの奥に車椅子対応の個室がある。などの心理的なバリア(使いづらさ)
    以上のようなことが課題として挙げられるのではないかと思いました。

   まとめと感想

    今回の『周辺トイレMAP 』では、車椅子マークのあるトイレをプロットして作成しましたが、上記
   のように身障者用トイレがない、あるいは車椅子マークのあるトイレであっても個々に問題点が
   あり使用に制限があると思われるところも多くみられました。
    利用者のADLの状態によってトイレに求められる条件は異なると思いますが、
   ・入り口は 80cm、出来れば 90cm以上の開口幅が確保されている。
   ・内部に、径 150cm以上の空間がある。
   この2点については、車椅子で使用するためには最低限必要な要件ではないかと思いました。
    『周辺トイレMAP 』でもそうした点を反映させれば良かったかも知れませんが、『トイレに手すり
   が有る」というだけでも利用の幅は大きく広がり、使える人がいるのではといった観点から今回
   は車椅子マークのあるトイレということで、細かな分類はおこないませんでした。しかし今後機会
   があれば、内部の空間や設備についてもインフォメーションした 『トイレMAP』 を作ってみたいと
   思います。
    しかし車での移動を主とした遍路では、政策的あるいは各お寺の積極的な取り組みによって
   比較的容易にアプローチできるようになってきているのではないかと思います。
    身障者用トイレを設置している場所も増えてきていることからも、気軽にドライブがてら「区切り
   打ち」で出かけることもできるのではないかと思いました。
    まず「行きたい」という本人の希望があれば、それを尊重し援助することが大切だということが
   わかりました。


         

   
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